普段スマートフォンやパソコンを使っていると、Wi-Fiに接続する際に「安全性が低いセキュリティ」「保護されていないネットワーク」「安全ではありません」などの警告メッセージを目にすることがあります。こうした表示を見かけると不安になる方も多いでしょう。しかし、なぜこうした表示が出るのか、そしてどのようなリスクがあるのかを正しく理解し、適切に対処することが大切です。この記事では、初心者の方にも分かりやすく原因やリスク、そして対処方法をご紹介します。
1. 「安全性が低い」と表示される主な原因
(1) 暗号化方式が古い
Wi-Fiの通信を保護するためには暗号化方式(セキュリティ規格)が存在します。代表的な規格としては、以下のようなものがあります。
- WEP(古い方式、脆弱)
- WPA(初期型で脆弱化しつつある)
- WPA2(現在も広く使われるが、早期のバージョンでは脆弱性の報告あり)
- WPA3(最新の規格で、より強固なセキュリティを提供)
特にWEPは非常に古い規格で、既に解読ツールも出回っているため容易に破られてしまう可能性があります。もし利用しているWi-FiがWEPの場合、接続先の機器やOSが「安全性が低い」と警告を出すことが多いです。
(2) パスワードなしのオープンネットワーク
駅やカフェ、空港など公共の場所で提供される無料Wi-Fiの多くはパスワードが設定されていない「オープンネットワーク」です。暗号化されていないため通信内容がそのまま外部に晒されるリスクがあり、接続時に「安全性が低い」または「保護されていない」と表示されることがあります。
(3) ルーターの設定不備・初期設定のまま
購入直後のルーターや、プロバイダからレンタルされたルーターを設定しないまま使っていると、暗号化方式がWEPに設定されていたり、パスワードが初期設定のままで使われている場合があります。その結果、接続するデバイスからは「安全性が低い」という警告が表示されることがあります。
2. 「安全性が低い」Wi-Fiを使い続けるリスク
(1) 通信内容が盗聴される可能性
暗号化方式が弱い、あるいはパスワードなしのオープンネットワークの場合、外部から通信を傍受されやすくなります。たとえば、あなたが入力したID・パスワード、メールの内容、SNSのメッセージなどの情報が盗み見られる可能性があります。
(2) 不正アクセスや乗っ取り
脆弱なWi-Fiに接続していると、悪意ある第三者が不正にあなたのデバイスへアクセスするリスクがあります。デバイスに保存されている個人情報の流出や、アカウントの乗っ取りなどが起きる恐れがあります。
(3) フィッシング詐欺やウイルス感染
安全性が低いネットワークでは、正規のサイトと偽装サイトの区別がつかなくなる可能性も高まります。偽のログイン画面に誘導されてIDやパスワードを盗まれる「フィッシング詐欺」や、ウイルスに感染する被害につながることもあるため注意が必要です。
3. 「安全性が低い」Wi-Fiの対処方法
(1) ルーターの暗号化方式を変更・強化する
自宅や職場で利用しているWi-Fiの場合、まずは最新の暗号化方式(WPA2以上、可能であればWPA3)に設定することが最も重要です。ルーターの管理画面にアクセスし、セキュリティ設定から暗号化方式を変更します。具体的な手順はルーターのマニュアルやメーカーの公式サイトで確認できます。
- WEPを使っている場合:至急WPA2またはWPA3に変更
- WPAを使っている場合:WPA2またはWPA3への移行を検討
- WPA2を使っている場合:問題は少ないが、可能ならWPA3の導入を検討
(2) 強固なパスワードを設定する
ルーターに設定するパスワードは、他者が推測しにくい複雑なものにしましょう。英数字だけでなく、大文字と小文字、記号を組み合わせた長めのパスワードが理想的です。「誕生日」や「電話番号」、「123456」など簡単に推測できるものは避けてください。
(3) ファームウェアのアップデート
ルーターのファームウェア(内部のソフトウェア)を定期的にアップデートすることで、セキュリティ上の問題が修正されるケースがあります。古いファームウェアのままだと、既知の脆弱性が残った状態となり不正アクセスのリスクが高まります。メーカーのサイトや管理画面の更新情報を定期的にチェックしましょう。
(4) 公共のオープンWi-Fiは注意して使う
外出先のフリーWi-Fiを利用する場合は、できるだけ重要な情報の送受信(ネットバンキングやオンラインショッピングなど)を避けるほうが安全です。やむを得ず利用する場合は、VPNを活用する、または暗号化された接続(HTTPSサイトの利用)を徹底することでリスクを軽減できます。もし常時VPNを利用できる環境があるなら、フリーWi-Fi利用時には常にVPN接続するのが理想的です。
4. もし「安全性が低い」Wi-Fiしか使えない場合の対処
(1) HTTPS接続を確認する
ウェブサイトにアクセスするとき、アドレスバーの先頭が「https://」になっているかどうかを確認しましょう。「https://」であれば、ブラウザとウェブサイトの間の通信が暗号化されるため、ネットワーク自体が脆弱でも一定の安全性が確保されます。
(2) VPNの活用
先ほども述べたように、VPN(Virtual Private Network)を利用すると通信が暗号化されます。有料・無料を問わずさまざまなサービスがありますが、セキュリティと速度を考慮して信頼できるサービスを選ぶと良いでしょう。
(3) 重要なログインや決済は避ける
できるだけ「安全性が低い」Wi-Fi上で銀行の口座情報やクレジットカード情報を入力するのは避けましょう。外出先でどうしても決済が必要な場合には、スマホの4G/5G回線を使うか、テザリングで自分のスマホ経由のネットワークを利用するのがおすすめです。
5. 自宅のWi-Fiを見直すべきサイン
- 古いルーターを長年使っている:ルーターの耐用年数はおおむね5年程度と言われています。古いモデルは最新規格に対応していない場合が多いため、買い替えも検討しましょう。
- 初期設定パスワードのまま:ルーターの底面や側面に書かれた初期設定のパスワードをそのまま使っていませんか? すぐに変更しましょう。
- セキュリティソフトを入れていないデバイスがある:特にWindowsパソコンやAndroidスマートフォンなどは、セキュリティソフトやOSのアップデートを怠ると不正アクセスされる可能性が高まります。
まとめ
Wi-Fiで「安全性が低いセキュリティ」と表示される背景には、古い暗号化方式の利用やオープンネットワークの使用、ルーターの設定不備などが考えられます。こうしたネットワークを使い続けると、通信の盗聴や不正アクセス、フィッシング詐欺などのリスクが高まるため、できるだけ早期に改善策を講じることが重要です。
自宅のWi-Fiであれば、ルーターの暗号化方式をWPA2やWPA3に変更し、強固なパスワードを設定しましょう。また、ファームウェアのアップデートも定期的に行い、常に最新のセキュリティ状態を保つことが望ましいです。公共のフリーWi-Fiしか使えない環境でも、VPNを活用したり、HTTPS接続を優先的に利用したりすることで安全性を高められます。
快適にインターネットを使うためには「便利さ」と同時に「セキュリティ」が欠かせません。ぜひ、今回ご紹介したポイントを参考に、ご自身のWi-Fi環境を見直してみてください。
上記の内容を踏まえて、もしご自宅のWi-Fiが「安全性が低い」と表示されるようであれば、早めに暗号化方式の再設定やルーターの更新を行うことをおすすめします。不安がある方は、ネットワークの専門業者や詳しい知人に相談しながら進めるとよいでしょう。インターネットを安全に使うための第一歩として、ぜひ対策を取り入れてみてください。